最近の競売の傾向
よくある学校建築だが、同じ場所におけるかつての空間体験と比較して、内部と外部が浸透しあう新しい風景の登場に感銘を受けた。
過剰なセキュリティを追求し、建築を閉じていくなかで、この美術館が志向する開かれた空間は、公共性の意味を改めて示すだろう。
内部と外部の浸透も発生している。
部屋の性質上、シアター別やレクチャーホールは閉じた空間になりがちだが、カーテンを上げると、公園のなかのガラスのパビリオンのようだ。
透明度の高いガラスの皮膜は、内部と外部の視覚的な連続性を強化するだろう。
そもそも外気に触れる壁面は、展示室の壁以外、すべてガラスである。
視線が内外を行き交うばかりではなく、美術館の天井や床には、公園や街の風景が映り込む。
周囲の緑を、映像として内部に引き寄せるN沢立衛のウィークエンドハウスの手法を祐桃させる。
美術館の内部に挿入された四つの中庭は、外部空間の飛び地のようだ。
館内の通路を歩くと、あちこちで中庭が隣接している。
なるほど、内部のどこにいようが、すぐ隣に外部が存在している。
ときには車道の向こうの市役所まで見えてしまう。
どこにいても、外の様子がほのかに感じられるのだ。
各展示室にも小窓がつき、完全に閉じることがなく、通路や中庭の雰囲気が伝わる。
またホワイエや光庭の植栽を見ると、ランドスケープが館内に侵入したような錯覚にとらわれる。
コミッションワークやオ‐プニング展「21世紀の出会い共鳴」の作品群も、建築のもたらす経験と連動している。
明確な意図をもつH谷川祐子のキュレーションの賜物だろう。
中庭に設置されたパトリック・プランによる緑の壁をガラスのパサージュが貫く。
レアンドロ・エルリッヒのプールは、地階に降りて、下から見上げることができる。
ジェームズ・タレルの部屋は、空そのものが展示の一部となる。
マイケル・リンの絵は、通路の大きな壁に描かれている。
鏡張りの自動ドアが続く廊下のインスタレーションは、歩くと、前後の風景を幾度も切り替えながら提示するだろう。
いずれも内部と外部の関係、あるいは建築と美術の境界を揺るがしている。
開館記念展では、部屋ごとに一人の作家が異なる空間をつくり、建築のコンセプトが巧みに活用されている。
それぞれが作家の家になっているかのようだった。
今後も、空間を生かして、どのような展覧会が組み立てられるかが楽しみである。
総じていえば、身体感覚の変容を誘発することが全体を貫くテーマだろうか。
対象をただ眺めるのではなく、環境に没入して体感すること。
建築・美術・ランドスケープが一体化し、ここでしかありえない幸福な共鳴を起こしている。
おそらく、三世紀の建築も、ここから始まる。
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